□ 離婚協議書

 離婚協議書とは、離婚の際、当事者の話し合いによって交わされる一種の契約書です。
 口約束では、言った言わないなどの争いになりやすく、また金銭的なことでもきちんと決めておかないと、約束した覚えがないといって支払ってもらえなかったり、これで終わりと思っていたのに後から請求される可能性もあり、とにかく離婚後のトラブルを予防するために作っておいた方が良い書類です。
親権を誰にするのか、養育費はどうするか、財産分与、慰謝料は?などを細かく定め、後日紛争に備えて書面に残します。
特に養育費、財産分与・慰謝料などの金銭(財産)が絡んでいるものは、必ず金額、金銭等を渡す時期、渡す場所、渡す方法等を明記する必要があります。
 離婚の際、必ず離婚協議書が必要というわけではありませんが、やはり後々のことを考えますと作っておくのがいいのかもしれません。協議離婚のときは特に注意です。
 ちなみに、財産分与と慰謝料の時効はそれぞれ2年と3年です。

 と、以上行政書士パッションの方でも書いてあることですが、子どものこと、夫婦生活上で得た財産の清算、その他金銭的なことで、後から争いになるのを防ぐために(離婚した後も、相手と争うのは苦しい、つらいだけ)、離婚協議書は作成しておくべきものだと思います。

 しかし、作成しても、実際、慰謝料などのお金を支払ってくれないのなら意味がないのではないか、という意見もあると思います。
事実、金銭的なもので、特に(長期間になる)養育費に関しては未払いになる可能性が高く、離婚協議書をただ作成しただけでは、強制執行などできないので、裁判等しないとどうしようもないこともあります。
 ですが、強制執行認諾約款付きの公正証書にしておくと、強制執行しやすくなり、また、調停をおこし、調停調書を得ることでも強制執行や差し押さえなどがしやすくなりお得です。特に調停に関しては、調停によって取り決めた履行がないなら、履行勧告や履行命令で履行をするように家庭裁判所が相手側に勧告等してもらえます。
 ある程度の協議書を作成して、調停を起こし、その協議書にそって調停を成立させることで調停の結果としての良い制度が使えるので、一つの方法として考えてみていいでしょう。

 どちらにせよ、後で言った言わないの争いをしたくないのなら、離婚協議書を作成して損はありません。
状況に応じて、長期的な債務履行があるのなら、公正証書などにする、また調停離婚を成立させることも考えます。

 離婚の際、後くされなく関係を解消するために、離婚協議書という約束の書面の作成を考えてみてはいかがでしょうか?


 ○ 離婚協議の際、注意すべきことを幾つか考えてみたいと思います。

 ・財産分与 夫婦が協力して形成した財産を離婚の際、清算するものですが、財産分与の対象とならない財産があり(原則、個々婚姻前から持っていた財産、相続等によって得た財産など)、またマイナスの財産は財産分与の対象となります。
 一般的に半々で清算することになると思いますが(財産形成上の寄与度を考えて、差が出てくることもあります)、現金など分けやすい財産はそれほど困らないのですが、不動産などの分けにくい財産の取り扱いには注意が必要でしょう。特に、名義者でない方が不動産を受け取る場合は、税金のことを気にすべきですし(思っていた以上の税金がかかる可能性がある、財産分与の前に、税務署に確認しておくべきでしょう)、ローンの返済などで抵当権がついている場合は、抵当権抹消も簡単には行かず、ローン返済の状況によって、不動産を手放す羽目になる可能性があります。また、名義変更により、期限の利益が喪失し、借入先から一括弁済を要求される可能性があります。ローン付きの不動産を財産分与の対象とする場合は、事前に借入先へ相談しておく必要があるでしょう。
 不動産の場合は、後々のことも考えて財産分与する必要があります。


 ・慰謝料 慰謝料を請求できる場合は、慰謝料支払の不履行がないように、離婚協議のときに一括でもらう、分割にする場合は強制執行認諾約款付き公正証書(できれば別途保証をつけるとなお良い)にする、慰謝料を財産分与に含め、財産分与でその分多く貰う、など考えるべきでしょう。


 ・養育費 継続的なものなので、支払いが行われなくなる可能性があります。養育費は子どものためのものなので、子どもへの愛情があれば、支払いが滞ることはないと思いますが、子どもと疎遠になっていったり、また、その養育費が本当にその子のために使われているのか、ということで、支払いを渋ることもあります。この辺りは、子どもを引き取った方が気をつけるところで、子どもとの愛情を確認すべき時間をちゃんと用意する、養育費がちゃんと子どものために使っているということを定期的に示す、などの必要があるでしょう。
強制執行等しやすくするため、公正証書などにしておくのも大切でしょう。
 
 金銭的なことでは、子どもの年齢によって必要額も違ってくることなので、数年ごとに金額の査定を行うように決めておく、また、予想外の医療費や高校・大学費用など別途多額にかかる場合の支払いはどうするのか、ということも決めておくべきかもしれません。


 ・親権者 子どもがいる場合、どちらが引き取るかの問題があります。当然、子どもの福祉にとって良い方が引き取るべきで、親権者とは別に監護者(身上監護権を持つ)を定めることも可能です(監護者を定める場合は、書面で残しておくべき。)


 ・面接交渉権 離婚に陥った状況によって子どもとの面接交渉権を定めることがありますが、子どもにとって負担にならないように決めておくべきでしょう。回数・場所を厳しく限定化するより、ある程度緩やかに決めといた方が状況による対処がしやすくなったりします(ただ、それぞれの状態により、厳しく限定化する必要がある場合も当然あります)。

 どちらにせよ、一番大切なのは、両者納得する形で(後々のことも含め)、離婚協議をすることなのかもしれません。



 離婚協議書の作成・相談はこちらから
     ⇒        


戻る