●婚約について

   ○婚約の成立

   ○婚約の効果

   ○婚約の解消(破棄)


 ○婚約の成立

 婚約は、当事者間において、将来婚姻することを約束することで成立します。
婚約が成立したとの判断は、通常、公然性と客観性が要求されます。つまり、婚約しましたということが、客観的に周囲の状況から判断してわかることが必要です。
ということで、婚約の成立に至るのに、通常は両親に挨拶、結納を交わすなどをします。
 しかし、結納の取り交わしや、その他の儀式などを行わなくても、その男女が誠心誠意をもって将来に夫婦となる約束をしたときに婚約が成立したことになる、という判例もあり、結納等がなくても、その男女が、真実に、そして確実に将来夫婦になることを約束しているのなら、婚約が成立しているといえるでしょう。
 ですが、口約束だけでは、法的に婚約として認められなかったり、また後々問題になったときに困ることになるので、ちゃんとした婚約の証明をしておくのが、大切です。

 婚約の証明として、結納・婚約指輪の交換、親族や友人などの第三者へ公言することが挙げられます。
また、婚約をした暁に、「婚約証明書」を作成するのも、一つの考えです。

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 ○婚約の効果

 婚約が成立しますと、当事者は、将来、法律上の婚姻関係を成立させるよう誠心誠意努力する義務を負います
 ですが、婚約しているといっても、法律上、婚姻することを強制はできません。しかし、不当に婚約を破棄した場合は、相手側に対して、損害賠償を負う義務が発生します。

  相手の男性に妻がいる場合に、私とその男性との婚約は有効になるのでしょうか?

  原則、無効です。また、相手側の妻から慰謝料請求されるおそれもあり、危険です。
しかし、相手側夫婦の婚姻関係が破綻した状態の後における婚約は、有効となることもあります。


 ○婚約の解消(破棄)

 婚約の解消に当たっての問題点は、一方からによる婚約破棄です。
「正当な事由」のない婚約破棄は、慰謝料の問題が出てきます。

「正当な事由」の判断
「円満かつ正常な婚姻生活を、将来営めない原因となり得る客観的かつ具体的な事情」

例えば、相手に他に異性関係がある。相手から虐待・侮辱を受けた。挙式や婚姻の届を客観的な理由がないのに一方的に延長する。相手が不治の病に罹患した。性的異常。社会常識に逸脱した言動を取る。婚約後態度を豹変させ、極めて冷酷な態度を取る、などの場合は、正当な事由があると判断されるでしょう。

反対に、相性が悪い。年回りが悪い。性格が合わない。親が反対している。家風の相違、信仰の相違(程度を超えている場合は別)などは、正当な事由として該当しないとされています。

「正当な事由」がなく、一方的に婚約を破棄した人は、婚約破棄による損害賠償を負わなくてはいけなくなります。
その損害賠償の範囲は次の内容です。

@婚約のためにかかった費用
例えば、挙式や披露宴の費用。花嫁の衣装代、仲人の謝礼など。

*婚礼道具、衣類などは、婚姻と関係なく使用することができるため、損害に入れないという考え方もありますが、婚約破棄後は使用したくないという感情を考慮して損害として認めることもあります。この場合損害として認める時の、損害額の具体的な計算として、
A 購入価格から現実の処分価格との差額(実際、処分する必要があります。) B 購入価格の70%前後に相当する金額を損害額とする方法(相手側に引き渡すことが必要です。) があります。

A婚約のために勤めていた会社をやめたための損害
 婚約がなければ、得られたという「得べかりし利益」がある場合は、損害として認められることもあります。

B慰謝料
 慰謝料は、婚約期間、肉体関係の有無、年齢、社会的地位、経歴、資産、婚約破棄の事情など、あらゆることを考慮して、金額が決められます。その額は離婚による慰謝料より低い傾向にあるようです。


婚約解消による結納の返還について
 
 結納とは、判例上、「婚姻の成立を確証させ、併せて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家の情誼を厚くする目的で授与される一種の贈与」とされています。
なので、婚約が解消されると、この目的が達成されなかった訳なので、受け取った側は不当利得として返還するのが原則です。
ただし、結納を送った側の「正当な事由」のない一方的な婚約破棄や、婚約の解消について双方に責任があっても結納を送った側の責任の程度が大きい場合は、結納を送った側からの返還請求は認められないとされています。


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