トップページに戻る


○  著作権

  インターネットの普及により、著作権問題が多様化してきています。著作権は我々の生活の中で身近に使われている権利でもあります。著作権(著作権法)についての内容です。

著作物       ▼著作者       ▼著作者の権利  ▽著作隣接権
著作物等を自由に使える場合


著作権(著作権法)の概要

 ▼著作物 ⇒ 「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するもの」

 *著作物の具体例
@言語の著作物(小説など・口頭で伝達されるものも含む ←例 講演会の講演)
A音楽の著作物     B舞踊又は無言劇(振り付け)の著作物
C美術の著作物   D建築の著作物(宮殿、庭園など建築美のあるもの。通常のありふれた住居等は含まれない)    E地図又は学術的な性質を有する図形の著作物(地図、人体模型、設計図など)
F映画の著作物(CM,ドラマなども含まれる)
G写真の著作物         Hプログラムの著作物

 ⇒ @二次的著作物(著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、翻案することにより創作したもの) 例 小説を映画化したもの
 A編集著作物(百科事典・新聞・雑誌など) ←素材の配列に創作性を有するもの
 Bデータベースの著作物 ←情報の体系的な構成
 C共同著作物(2人以上のものが共同して創作した著作物で、寄与分を分離して個別的に利用できないもの)
 D集合著作物(中世編はA、近代編はBのように分離して個別的に利用できるもの)
 E結合著作物(歌詞 + 楽曲 ⇒ 音楽   文章 + 挿絵 ⇒ 絵本 など)

◎権利の目的とならない著作物
 ⇒憲法、法令、判決など、またそれらの翻訳物(国等が作るもの)

*保護を受ける著作物
@日本国民の著作物
A最初に国内において発行された著作物(最初にこの法律の施行地外において発効されたが、その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む)
B条約により我が国が保護の義務を負う著作物

 ▼著作者 ⇒「著作物を創作する者」 ←本来、自然人(個々の人間)

  *法人(会社など)等の組織が著作者となるための要件(すべて満たす必要あり)
     @ 法人の発意に基づき作成されたもの
     A 法人の業務に従事する者により作成されるもの
     B @、Aに基づき職務上作成する著作物
     C 法人の著作名義の下に公表するもの
     D 法人内部の契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと

    ↑ プログラムの著作物の場合はCがいらない。

  *映画の著作物の著作者(法16条) ←上記の要件を満たす場合は「法人著作」 
                   全体的形成に創作的に寄与した者
   →  その著作者が映画制作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束している場合は、著作権は映画制作者に帰属。(法29条1項)

 ▼著作者の権利 ⇒ ・著作者人格権(心を守る)
               ・著作権(財産権)  ←財産的利益を守る

権利の発生(無方式主義) →著作物の創作の時に始まる
   (無方式主義・・・何の手続きなしに権利が発生する
    ⇔方式主義・・・権利発生に登録等の手続きが必要 例 特許・実用新案・意匠・商標など)
権利の消滅 →原則、著作者の死後50年間(死亡後の翌年1月1日から起算)
              会社などの団体名義は、公表後50年(公表されなかった場合は創作後50年)*映画の著作物は公表後70年

 ○著作者人格権(著作者の一身専属的な権利) ←つまり譲渡できない
  @公表権 →公表するか否かを決めることができる権利(公表する場合はその時期・方法等も)
  A氏名表示権 →公衆に提供又は提示される際に、著作者の氏名を表示するか否か、どのような名義(名前)で表示するかを決定する権利
  B同一性保持権 →意に反して改変を受けない権利。(一定の場合には許される 法20条2項 例 明らかな誤字脱字の修正)

 ○著作権(排他的、独占的な権利。他人が利用することについて許諾又は拒否する権利) ←無断で利用されない権利 
注意!小説を読む、音楽を聞くなど知覚的なものは無断でできる
 <著作権は支分権(個々の複製権や譲渡権など)の集合体>
以下、著作権(支分権)の内容
「〜権」は「無断で〜されない権利」と考えた方がわかりやすい)
 
 @複製権 ←コピーされない権利
 A上演権、演奏権(公に上演したり、演奏する権利) ←他人は無断でできない
    ・ちょっと豆知識
     著作権法で 「公に」 = 公衆に直接見せ又は聞かされることを目的として
              「公衆」 = 不特定又は特定多数の者
 B上映権(上映 →著作物を映写幕その他のものに映写すること)
 C公衆送信権等(自己の著作物を公衆送信する権利を専有
                        ↑
                  ・放送(無線通信) ←再放送(リピート放送)にも働く
                  ・有線放送(有線通信)
                <・送信可能化  例HPなどネット上で誰でも見れるようにすること>
  D口述権(自己の言語の著作物を公に口頭で伝達する権利) ←他人は無断でできない
  E展示権
  F頒布権 ⇒原則、映画の著作物のみ ←無断で譲渡したり貸与されない権利
  G譲渡権 ⇒映画の著作物以外 *いったん適法に譲渡された著作物のその後の譲渡には権利が及ばない
  H貸与権 ⇒映画の著作物以外
  I翻訳権、編曲権、変形権、翻案権 ←二次的著作物を無断で創作されない権利
  J二次的著作物の利用権 →二次的著作物を利用する人は、その著作者だけでなく原著作者の承諾を得なければならない
  *無許諾で翻訳等された小説などでも二次的著作物になる

 ▽著作隣接権 ←伝達する人の権利
 
 (1)実演家(具体例:歌手、演奏家、俳優、指揮者、演出家など)の権利
  *保護を受ける実演(法7条)
    国内で行われた実演、保護を受けるレコードに固定された実演、保護を受ける放送において送信される実演 など

 (@)実演家人格権 (一身専属権・・譲渡できない)
  @氏名表示権
  A同一性保持権

 (A)著作隣接権
  @録音権 及び 録画権 (増製することも含まれる) **
  A放送権 及び 有線放送権  **
  B送信可能化権   **
  C二次的使用料を受ける権利 →例えば、市販のCDが放送(有線も)で使われた場合
  D譲渡権  **
  E貸与権等 →自己の実演が録画されている商業用レコードの公衆への貸与について、最初に販売された日から1年間は貸与権許諾権を有し、その期間経過後は貸しレコード業者から報酬を受ける権利を有する

 ** 例外規定あり を表す。

 (2)レコード製作者(音を最初にレコード(もちろんCD等も)に固定した者)の権利
  *保護を受けるレコード(法8条)
  日本国民をレコード製作者とするレコード、音が最初に国内において固定されたレコード など 

  権利
  @複製権
  A送信可能化権
  B二次的使用料を受ける権利
  C譲渡権         **例外規定あり
  D貸与権  →最初に販売された日から1年間は貸与許諾権
           それ以降は貸しレコード業者から報酬を受ける権利

  (3)放送事業者(無線放送の送信 例NHK 民法)の権利
   *保護を受ける放送(法9条)
  日本国民である放送事業者の放送、国内にある放送設備から行われる放送など
  
  権利
  @複製権
  A再放送権 及び 有線放送権  **例外規定あり
  B送信可能化権
  Cテレビジョン放送の伝達権  ←テレビ(テレビジョン)放送を、映像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達することについての専有権

  (4)有線放送事業者(例 CATV)の権利
  *保護を受ける有線放送(法9条の2)
  日本国民である放送事業者の有線放送、国内にある有線放送設備から行われる有線放送

  権利
  @複製権
  A放送権 及び 再有線放送権
  B送信可能化権
  C有線テレビジョン放送の伝達権

*著作隣接権の保護期間 ・・・実演、放送など行われた年の翌年から50年

 ▼著作物等を自由に使える場合
(*ただし、これらの規定に基づき作成されたものを目的外に使うことは原則禁止)
 *著作者人格権に影響を与えることは駄目

 @私的目的の複製
   個人または家庭内など限られた範囲で使用することを目的(例 定時に見れないためのビデオ録画)
       *駄目な場合 ・公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合(コンビニなどのコピー機はしばらく認められている)
                ・コピープロテクション等を勝手に解除して複製する場合
                ・デジタル録画は相当な補償金を支払うものとされている(あらかじめ、デジタル機器の販売価格に含まれている)


 A図書館等における複製(下記 aからcの範囲で非営利目的)
       図書館は国立や公共図書館、大学付属図書館などで司書(相当の職員含む)が置かれているところ ←小学校、中学校、高校の図書館は駄目

  a 利用者の求めに応じての複製 →調査研究の用に使うためで、公表された著作物の一部だけ
  b 図書館資料の保存のため必要がある場合
  c 絶版等の理由で、一般の市場では入手困難な図書館資料の複製物を提供する場合

  B引用目的 (引用される部分が「従」で、作成される著作物が「主」であることが必須)
  ・かぎ括弧をつけたり、引用文であることをわかるようにする
  ・出所の明示が必要
  ・国等の機関の白書や統計資料は、禁止する旨がなければ、説明等の材料として転載可能

  C教科書などへの掲載
  D学校教育番組の放送等
 ↑両者とも、目的の範囲内で、相当額の補償金を払う必要あり

  E学校その他の教育機関での複製(例 授業で使うための資料のコピー)
         *全部のコピーは駄目、ドリル・ワークブックなどの複製は認められていない

  F試験問題としての複製(目的上必要と認められる限度)
         *有料の模擬試験のような営利目的の複製の場合は、通常の使用料に相当する補償金の支払いが必要

  G点字による複製等
  H聴覚障害者のための自動公衆送信(字幕化)
 ↑必要な範囲で福祉施設等において

  I営利を目的としない上演等
   a 非営利で、料金を取らず、出演者に出演料を支払わない場合には、公表された著作物を上演・演奏・上映・口述できる(例 文化祭の劇の上演や演奏)
   b 非営利で、料金などを受け取らない場合は、公表された著作物(映画以外)の貸し出しが可能(例 図書館での本、CDの貸し出し)
   c ビデオなどの映画の著作物の貸与については、公共図書館など政令で定める施設に限り、著作権者に補償金を支払って、貸し出しができる 

  J報道関係等
  a 新聞紙・雑誌に掲載された時事問題の論説は転載可能
  b 公開された政治上、裁判上の陳述は自由に利用可能
  c 国、公共団体におけるものは正当な範囲で利用可能
  d 時事の事件の報道のための利用(正当な範囲)

  K裁判手続等における複製(必要と認められる限度・著作者の利益を不当に害してはならない)
  L情報公開法等による開示のための利用

  M二次的利用の場合(原作が自由利用できる場合のみ)

  N放送事業者等による一時固定
  ←通常、放送権は得ているが、複製権は得ていないためにある。
一時的に、録音・録画できる。ただし、6ヶ月を超えて保存はできない。(公的な例外あり)

  O美術・写真・建築関係
  a 美術の著作物等の原作品の所有者による展示
    美術・写真の所有者また同意を得たものは公に展示できる。(ただし、屋外など一般公衆の見やすい場所の展示は除く)

  b 公開の美術の著作物等の利用
    屋外に設置された美術の原作品・建築の著作物は一定の場合を除き、自由に利用できる(専ら販売目的の複製は駄目、その他 法46条)

  c 美術の著作物等の展示に伴う複製
適法に美術・写真の展覧会を開催する者は、作品紹介のための小冊子(カタログ)に展示する著作物の複製(掲載)ができる。ただし、販売用のポスターや絵はがき、豪華本などは著作権者の許諾が必要。

  Pプログラム関係
  プログラムの著作権の所有者はバックアップのためのコピー・バージョンアップのための複製ができる。
  ただし、複数のパソコンで使うための複製は駄目。また、プログラムを他人に譲渡した場合は、バックアップ等の複製物は廃棄しなければならない。

▼権利の侵害

 ○権利の侵害による権利者の請求
   @差止請求
   A損害賠償請求  など

 ○著作権法による罰則
   10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(親告罪)←*法律改訂
   その他の罰則もあり。

▽行政書士の関わり
 ・著作権契約
 ・著作権の相談
 ・著作権の登録 など  です。


トップへ

トップページに戻る