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 第7回目            物(mono,butu)

 今回は、権利の客体となる物(もの、者との対比のために「ぶつ」と呼ぶことも)について、見ていきます。
 まず、人(自然人)や、法律上権利能力を持つことを許された法人は、権利を持ち、また権利を行うことから、権利の主体と呼ばれることもあります。
その権利の対象となるものが権利の客体です。
 例えば、自然人(一般的な人間のことです)には所有権という権利を持つことができます。しかし、権利の対象となる「もの」がなければ、所有権という権利はないに等しいことになります。所有権という権利を発生させるには、物―権利の客体が必要ということなのです。
 権利の客体となるものは、別に「物」だけではありません。著作権、特許権などの無体財産と呼ばれるものも、また権利の客体となります。そして、債権の客体―債務者の給付(行為)も権利の客体であります。
以上の中で、ここでは、「物」についての話です。

 「物」の意義について、民法85条で定められています。
『本法において物とは有体物をいう』
 民法でいう「物」とは、有体物のことであるという意味ですが、ここでの有体物とは、「固体、気体、液体などの空間の一部を占める物のこと」となっており、電気などのエネルギーや著作権などの知的創造物はこの「物」には含まれないことになります。しかし、原則的に、電気、熱、光などのエネルギーは有体物でないので「物」には含まれないのですが、現社会の情勢も踏まえ、拡張的に考え、これらエネルギーも「物」として扱うこともあることだけは、ここで言っておきます。
 さて、有体物である「物」ですが、この「物」は大きく分けて、二つに分類されます。「不動産」と「動産」です。
 「不動産」とは民法86条1項で『土地及びその定着物はこれを不動産とする』とされています。不動産で分かりやすいのは、土地と建物でしょう。法律にある“その定着物”とは建物や下水道の溝、石垣などの土地の一部として使用されるもののことを言います。ただ、建物は一個の不動産として扱われますが、石垣などは土地の定着物として、土地と一体(土地の一部)として扱われることに違いがあるともいえます。また、立木も本来は土地の定着物として土地と一体として扱われるのですが、「立木に関する法律」があり、登記をした立木は土地とは別に一個の不動産として扱われることもあります。
 「動産」は民法86条2項で『不動産以外のすべての物は、動産とする』
三項で『無記名債権はこれを動産とする』となっています。
 有体物である「物」のうち、不動産以外のものすべてが「動産」であり、また、無記名債権も「動産」とすることですが、ここの無記名債権とは、「無記名公債、無記名社債、商品券、乗車券などの証券に特定の権利者の名が表示されていない債権のこと」で債権は本来、有体物でないので「物」には含まれないはずなのですが、商品券などの無記名債権は証券というもので形つくられ、取引等、一般的に利用されていることから、動産と同じ側面があり、動産とされています。
 この「不動産」「動産」の区別は、とりわけ「公示方法」「公信力の有無」について違いがあるといえます(そのへんは物権のところで)。

 民法87条に主物と従物について法定されています。
ある物(主物)の効用を助ける物を従物といい、例として、メガネとメガネケース、建物と畳などがこの関係に当たります。従物は主物の処分に従うとされており、従物は主物と運命共同体であることに特徴があります。
上記の例の畳は本来、一つの動産として扱われるべきものなのですが、畳は建物に付属させて価値が出るものであり、普通畳のみで使用されることがありません。そのため、こういう主物・従物という関係のもと、主物と同じ扱いにされる意味があるのです。家を買いに来て、この畳だけ頂戴、なんてことよっぽどのことがないかぎりありませんから。
 この従物の要件として
@主物と従物の所有者が同一である
A従物は、主物に付属した物で、その通常の使用に役立つものである
B従物は、主物とは別の独立した物である
以上のすべての要件がある物が従物とされることになります。
そして、従物とされた物は主物の処分に従うことになり、例えの建物(主物)と畳(従物)において、建物の所有権が移ると従物である畳も一緒にその建物を手にいれた者の「物」となるのです。
一つ例として・・・・・・
 AさんはBさんから畳付きの家を購入した。購入後、Aさんがその家に入ってみると、なんと畳が取り除かれている。そのことをBさんに言うと、Bさんは「家は売るといったが、畳は売るといっていない」と言い返した。この場合、どうなるのでしょうか?
 こういう場合に、主物と従物の関係―民法87条が適用され、畳が従物である以上、Bさんは畳を付けてAさんに家を渡さなければならないことになります。もし、Bさんが畳を付けないままでいますと、損害賠償を支払うことになるでしょう。
ただ・・・ものすごく例外として、畳が黄金・ダイヤモンドで出来ており、それだけで高額の値段で売れるような場合は、家の値段にその黄金畳の金額を含まれていない事情の下、Bさんの主張が通ることも考えられます。家1000万で黄金畳700万で、Aさんは1000万支払った場合です。でも、こういうのは本当に例外です。

 「物」の項目の最後は、元物(げんぶつ、がんぶつ)と果実(かじつ)です。
ここでの果実とは、ある物(これを元物)から生じる収益をいいます。
民法では88条、89条で果実に関して定めています。
この果実には二種類定められており、天然果実と法定果実がそれであります。
「天然果実」とは物の用法に従い収得する産出物のことで、牛乳・果物(くだもの)・羊毛・野菜などが例です。
ここで、牛が元物・牛乳が果実、りんごの木が元物・りんごが果実となります。
 この天然果実は、その元物から分離する時に、それを収得する権利を持っている者に属することになっています。例えば、畑の所有者がその畑から取れた野菜を収得することができる、といった感じです。

「法定果実」とは、物の使用の対価として受け取る金銭等のことで、家賃や利息がその例です。
ここで家が元物・家賃が果実となります。
 この法定果実は、その収得する権利の存続期間を日割りをもって収得する、とあります。例えば、ある家の所有者Aさんが、Bさんにその家を貸していたとして、3月1日にその家の所有権をAさんはCさんに移転したことになりますと、3月1日前の家賃はAさんのもの、3月1日以降の家賃はCさんのもの、ということになります。
 以上のように、「物」だけ見ても、民法で幾つかの定めがあります。「物」なんて法律で定める必要なんてないんじゃないの?という考えもあるかもしれませんが、複雑になる事実関係を思うと、こうして法律に定めてあれば楽に判断できることに意義があるのでしょう。家を購入した時に畳が付いてくるのかこないのかが良い例です。

 (*2003年8月1日)

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 第8回目           法律行為???

  いままでも、ちょこちょこ出ていた法律行為とはそもそも、なんぞや?ということについてのお話です。
 概念的なものであり、難しいと思われますので、軽い気持ちで(適当に)今回は見てくれたらいいと思います。

 私たちは知らない間に法律上の行為をしています。身近なものでしたら、売買契約です。日々の買い物がそれです。陳列棚から商品をカゴに入れ、レジに持っていき、提示されたお金を払う。それによって、その商品は買った物の人になります。
 これらを難しく言うと、日々の買い物はお金を払うことにより、売主側にある商品の所有権を私たちに移転する―民法上にいう売買契約をしているということになります。
  私たちの生活のなかでは、買い物のように、所有権も含めた私権が一定の事実を原因として、変動(発生、変更、消滅)します。この一定の事実のことを法律要件といい、これに基づいて発生する効果(私権の変動)を法律効果といっています。そして、法律行為とは、意思表示をもってこの法律効果を発生させる行為のことをいいます。
 意思表示とは、例えばテレビを買いたい場合に、電気屋にそのテレビを買いたいと意思を表示することです。
 つまり、法律効果を発生させるためには法律行為が必要であり、その法律行為には意思表示がなければならないというわけです。意思表示に関しての詳しいことは次回に回しますが、意思表示がなければ法律行為ではありません。

 私権の変動の発生は法律行為が前提としてあるわけですが、この法律行為は基本的に自由です(法律行為自由の原則)。しかし、一定の場合には、その法律行為は無効とされます。
一定の場合とは、
@内容が確定できないもの。
例えば、買い物の時「あれ買うわ」と買う方が言ったとしても、その「あれ」が何かわからなければ、売主は売れません。それなのに、法律行為である売買契約が成立したということになるのは、おかしな話です。法律行為は内容を確定しておかなければなりません。
Aその内容が実現不可能なこと。
 既にその物がないのに、その物を買いたいと言っても売ることは出来ません。法律行為の内容は実現可能でなければ、その行為は無効となります。
Bその内容が適法でなく、公序良俗に反する場合。
 違法な行為をした者を法律が守るのは変な話です。また、公序良俗―公の秩序、善良な風俗―社会的に妥当でない行為を認めるのもおかしな話です。よって、その場合は無効とされます。
 例えば、違法な法律行為とは、麻薬の売買がそれです。この法律行為は無効であり、それに加え刑罰の対象にもなります。
公序良俗違反は民法90条にもありますが、公序良俗違反の法律行為は無効です。例えば、倫理に反する妾契約、売春契約・著しく射幸的(賭博性が強いもの)であるものなどがそれです。だから、賭博のために金貸してと言われて、貸した場合はその貸した行為自体が公序良俗違反で無効となり、賭博のために貸したため、その貸したお金をかえしてもらう権利もなくなります。つまり、賭博のためにお金を貸した場合はそのお金が返ってこなくても、返してくれと言う権利はないのです。

 法律行為は上記の@〜Bのどれにも当てはまらないことが必要です。


 法律行為は分類により、いくつかの種類があります。
(1)単独行為・契約・合同行為
*単独行為とは、一人で一方的に行う意思表示で成立する法律行為です。例えば、寄附行為や遺言などです。
*契約は、相対立する2つの意思表示の合致により成立する法律行為です。売買、贈与などがそれです。
*合同行為とは、方向を同じくする2以上の意思表示が合致して成立する法律行為のことを言います。たとえば、会社の設立行為などがそれです。

  ◎◎    意思表示⇒    !!          (単独行為)

  !◎◎  意思表示 ⇔ 意思表示 ◎◎!       (契約)

  ◎◎  意思表示 → 社団設立行為!!
  ◎◎  意思表示 →                   (合同行為)   

 以上のほかに、書面が必要、又は必要でない法律行為として、「要式行為」「不要式行為」。債権的効果を発生させる・物件的効果を発生させるとして、「債権行為」「物権行為」。等の分類、種類も法律行為にはあります。

法律行為として私たちの間で良く行われているのは、やはり『契約』だと思います(法律行為といえば、契約といわれるほど・・)。
法律効果を欲してなされる行為、それが法律行為なのです。そして、この法律行為は法律が認めたもの―つまり、法律効果の実現に国家が助力することに大いなる意義があります。
 (*2003年8月7日)

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 第9回目         意思表示の謎

  前回の法律行為に欠かせないのが、意思表示です。
「意思表示」とは、言葉の通り、意思を表示すること。
例えば、テレビが欲しいとしますと、販売店に行って、お店の人に、テレビを買いたいのです。と「意思」を「表示(相手に知らせる)」します。
意思表示がないと、そもそも、法律行為が成立しないことが分かりますか?なぜなら、意思表示がないと、相手側はわからない。。。
 「意思表示」は契約等の法律行為の重要な要素です。今回はこの「意思表示」に関しての話です。

 先の例のテレビが欲しいの話ですが、テレビが欲しいと心の中で思うこと(思っているだけで外部に出していない状態)を法律用語?では「内面的効果意思」と呼ばれることがあります。そして、そのテレビが欲しいという「内面的効果意思」を相手側に知らせることを、「表示行為」と呼ぶことがあります。この「内面的効果意思」と「表示行為」を合わせて、「意思表示」となります。
さて、これからが本題ですが、この「内面的効果意思」と「表示行為」が違うことがあります。例えば、テレビが欲しいと思っているのに、販売員には冷蔵庫が欲しいと言った場合。このように心の内面的効果意思と外部に知らせる表示が違う場合、法律上はどう解釈されるのでしょうか?これについて、見ていこうと思います。
 民法では「意思」と「表示」が違う場合を3つに分けています。
 @心裡留保(しんりりゅうほ)―ひとりウソ
 「内面的効果意思」と「表示行為」が違うことを本人が知っている場合のことです。例えば、Aさんはあげる気もないのに、友達のBさんにこの車ただであげるよ(贈与するよ)と言った場合のことです。
この心裡留保は、原則、有効とされています。つまり、BさんはAさんから車を貰う権利があるということです。これは、うそを言う人を法律上、守ることがないという趣旨からきています。
ただし、BさんがAさんの言っていることウソだなと知っているとき(法律用語で「悪意」)、または、注意すればウソを言っているのが分かるとき(法律用語で「過失」がある)は、この心裡留保は無効です。Bさんに悪意・有過失があるときは、BさんはAさんから車を貰う権利はないということになります。
つまり、この心裡留保が有効となるには、BさんがAさんがウソを言っているのを知らなくて、そのウソが注意しても分からない時です。(善意無過失)

 A通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)―ふたりウソ
 「内面的効果意思」と「表示行為」が本人だけでなく、相手側も知っている場合のことです。2人で示し合わせてウソの意思表示をすることです。
 例えば、Aさんは借金逃れのために、Bさんと示し合わせて、自己所有の土地をBさんに売り渡した場合のことです。
この通謀虚偽表示は無効です。つまり、Bさんはその土地の所有を主張することはできないことになります。
民法では、さらに第三者がいる場合も想定しています。例えば、ウソでありながら、Bさんへ土地の所有の登記移転を済ませて、その後、自分に登記があることをいいことにBさんが別のCさんにその土地を売って、所有権をCさんに移転した場合です。
さて、本来通謀虚偽表示は無効なので、AさんはBさんから土地を取り戻すことが出来ます。しかし、その土地は別の第三者Cさんの手に移っています。AさんはCさんから土地を取り戻せれるのでしょうか?
民法ではCさんがAさんとBさんの通謀虚偽表示を知らずに、Bさんから土地を買った場合は、Aさんは通謀虚偽表示の無効を主張することは出来ません。つまり、AさんはCさんから土地を取り戻せないということです。反対にCさんが通謀虚偽表示を知っているときは、AさんはCさんから土地を取り戻せることになります。

 B錯誤―勘違い
 「内面的効果意思」と「表示」が違っていて、その違っていることを本人も知らない場合のことです。
 例えば、AさんはBさんと自己所有の土地の売買契約を結ぼうとしたところ、勘違いでCさんと売買契約をしてしまった場合です。
この錯誤のある意思表示は、無効とされています。ただし、錯誤者(例のAさん)に“重大な過失”がある場合は、錯誤者は無効を主張することが出来なくなります。
ここの“重大な過失”とは、少し考えれば(調べれば)分かるのに、しなかった場合のことです。上記の例でも、BさんはAさんの友達で顔見知り。Cさんは全く知らない人。とすると、Aさんには“重大な過失”があるといえるでしょう。少し考えれば、CさんがBさんと違うことはわかるのですから。


 さて、次に詐欺、または強迫によって「意思表示」をした場合についてみていこうと思います。
だまされたり、脅されたりしても、「内面的効果意思」と「表示行為」は一致しています。例えば、いまこの土地を買ったら得をしますよと言われて、買ったとします。この場合「買いたい・買おうと思う」という内面的効果意思と「買います」という表示行為に違いはありません。しかし、本当は他の所と比較しても土地の値段は数倍以上高かった。つまり、だまされた。さて、どうなるのでしょうか?
「意思」と「表示」の内容が同じなので、先ほどまでの「意思」と「表示」が違う心裡留保等にはあてはまりません。
しかし、この詐欺による「意思表示」を認めるのも社会通念上、問題があります(また、本来の意思とは違う問題もある)。よって、民法では、詐欺、強迫によって意思表示をしたときのことが定められています。
@詐欺による意思表示
例えば、AさんはBさんに騙されて、A所有の土地をBさんに売った場合です。この場合、AさんはBさんに土地を売るという意思表示を取り消すことが出来ます。
また、その後、Bさんは自分に登記があることをいいことに、別の第三者Cさんにその土地を売ったとします。この場合は通謀虚偽表示の時と同じで、CさんがAさんがBさんに騙されているのを知らなかったときは、Aさんは取り消すことが出来ない。CさんがBさんの詐欺を知っていた場合は、Aさんは取り消すことができます。

A強迫による意思表示
AさんがBさんに脅されて、A所有の土地をBさんに売った場合です。この場合はAさんはこの意思表示を取り消すことが出来ます。そして、また、その土地がBから別のCさんに売り渡されても、Aさんは取り消すことが出来ます。この場合、CさんがA−B間のことを知っていようが、知らないでいようが関係なく、Aさんは取り消すことが出来るのです。

原則 例外
意思≠表示 心裡留保 有効 相手側に悪意または有過失がある場合は無効
通謀虚偽表示 無効 善意の第三者には対抗できない(事情を知らない第三者には無効を主張できない)
錯誤 無効 重大な過失がある場合は、無効を主張できない
意思=表示
(ただし意思に傷―瑕疵がある)
詐欺 取り消せる 善意の第三者には対抗できない(事情を知らない第三者には取り消しを主張できない)
強迫 取り消せる なし

 さて、次に入ります。
意思表示の効力が発生するのはいつでしょうか?
民法では次のようになっています。
「意思表示はその通知が相手側に到達したときにその効力が発生する」(いわゆる到達主義)
 ここでいう到達は、@表白(表意者―意思表示する人が意思の表示として手紙を書く)A発信(ポストに投函する)B到達(相手側に配達される)C了知(相手側がその手紙を読む)
でのBであり、相手側に到達すれば、相手側がそれを見ようが見まいが意思表示は到達したことになります。
つまり、意思表示の手紙が相手側の郵便受けの中に入った時に意思表示の効果が発生するということです。
例えば、A−B間で売買契約をしたが、事情によりAはこの売買契約を解除した。その解除の意思表示をAは4月1日手紙で送った。3日後(4月4日)、その手紙はBの郵便受けの中へと配達員によって入れられた。Bがその手紙を読んだのは、それから2日後(4月6日)だった。
⇒この場合、解除の意思表示の効力が発生するのは、4月4日です。
意思表示の到達は、実際に相手側が了知するときでないということに注意が必要でしょう。


 最後に、意思表示の受領能力について少し。
遠くから、AからB宛に意思表示の内容証明がおくられてきました。
@その内容証明をBの妻が受け取りました。
⇒Bさんの妻が受け取った時点が意思表示の到達となり、意思表示の効力が発生します。
ABの子供(未成年)が受け取った。
⇒まだ、意思表示が到達されたことにはなりません(効力発生しない)。なぜなら、未成年の子供には受領能力がないからです。

民法98条の2で、未成年者・成年被後見人は意思表示の受領能力がないとされています。ただし、それらの法定代理人が意思表示の到達を知ったときに、効力が発生することになっています。
      (*2003年8月22日)

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 第10回目            代理です。

 今回は「代理」に関しての話です。
「代理」の関係を表現するのに三角関係が良く用いられます。
<本人>、<代理人>、<相手方>の三者の関わりを持って三角関係となるのですが、「代理」というのは、本来<本人>と<相手方>の二者間で行われることに、<代理人>という第三者が中に入り、<本人>のために契約等の代理の行動を行います。実際は<本人>がすべて契約等すればいいわけですが、“知識がない、忙しい、めんどうだ”ということで、“そのことに関して詳しく、本人のために動いてくれる”第三者が代わりに契約等をしてもらえば、<本人>にとっても、利益になりますし、また楽ということにこの「代理」の意義があると言えるでしょう。

 さて、この「代理」の制度ですが、
@<本人>が<代理人>に代理権を与える
A<代理人>が<相手方>との間で代理行為を行う
Bその代理行為の効果が<本人>に帰属する
という仕組みになっています。
ここでいうBに「代理制度」の意味があるわけでして、<代理人>として<相手方>と契約を結んでも、その効果は<代理人>にいくのであれば、代理というのは必要ありませんし、そもそも変な話です。例えば<本人>Aさんは<代理人>Bさんに100万円の車を代わりに買ってきてと代理を頼みます。それでBさんは<相手方>である車販売のCさんの所へ行き、100万円の車を買ったとします。ここで代理行為の効果が<本人>にいかないとすれば、その車はBさんのものということになります。おかしな話です。別にBさんが車を買いたいわけでないのにBさんが買ったことになるなんて・・・。なので、「代理」の制度の重要な所がBにあるということがわかってもらえるでしょうか?
だからといって、@、Aがどうでもいいというわけではありません。
Bの代理の効果を発生させるための要件として、@Aがあるわけでして、@及びAのどちらを欠けても、民法上の「代理」にはならないことになります。
 @・・・<本人>が<代理人>に代理権を与える。あたりまえのことですよね。<本人>が代理権を第三者に与えることによって「代理」が始まるわけです。ただ、法律上代理人と認められている人、例えば、未成年者の親のことですが、この法定代理人(といいます)は<本人>から代理権を与えられたわけではないのですが法律上、一定の範囲で代理権を与えられることになっています。これは認識ができない<本人>のためになるからです。例えば、1歳の子供が病気になったので、1歳の子供本人が自分で病院に行って、医者と、病気をみてもらい治してという医療契約を結び、そして見てもらった対価としてお金を払う・・・。ということが1歳の子供に出来るとは思えません。よって、代わりにしてくれる代理人が必要でして、そのために親権者という法定代理人がいるわけであります。
しかし、その他の、車代わりに買ってきて、というような場合は代理権をきちんと<代理人>に与える必要があります。それが「代理」の要件でもありますし、また、争いを防ぐためでもあります。
争いを防ぐためといいましたが、よく白紙委任状をもって代理とすることがあります。白紙委任状・・・<本人>の名前と<代理人>の名前だけ書いて、それ以外は書いていないのを以って、代理とする場合は<代理人>が誠実な人ならべつにいいのですが、悪い考えの人なら委任状の本文(本当はここが重要ですが)が白紙であることがいいことに、自分で代わりに書いて(本人が損をするような内容)、<相手方>と取引をする・・・。誰も好き好んで、損をするような代理を頼む人はいません。しかし、白紙委任状だったので、損をすることがしばしばあります。だから、代理権をあたえるときは“きちんと”が大切であって、紛争を起こさせないためにも重要なことであります。


A・・・<代理人>が<相手方>との間で代理行為をする
ここで重要なのが、<代理人>は<相手方>に対して、自分は本人の代理人であることを示すことです。顕名(けんめい)主義と呼ばれているのですが、本人の代理人であることを相手方に示すことで、初めて代理行為が出来るのでありまして、相手方が代理人であることが分からなかったら、代理の効果は起こらないことになります。
さて、もし<代理人>が顕名(本人の代理人であることを示す)をしなかったらどうなるのでしょう?
この場合は、<代理人>自身が<相手方>と契約等をしたことになります。
Aさんの代理人であるBさんがCさんと車を買う契約をしました。ここでBさんが私はAさんの代理人ですよとCさんに示した時、またCさんがBさんはAさんの代理人であることを知っていたときは、AさんとCさんとの間で車の売買契約が成立したことになりますが、Bさんが顕名をしなかったときは、BさんとCさんとの間で車の売買契約が成立したことになるのです。これによって、Bさんは車の代金を払う必要が出てきます。Bさんは車を買うつもりはなかったのに・・・・。
代理では顕名主義が重要であるのです。
(*商法504条 顕名主義の例外 「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は本人に対してその効力を生じる。ただし、相手側が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。)

もうひとつ、代理行為といってもどんなことも代理できるわけではありません。特に身分行為がそうです。婚姻、認知などを身分行為といいますが、この身分行為は本人の意思が特に重要であるからです。


B・・・代理の効果は<本人>に帰属します。代理人が契約を結んだ場合はその契約の効果が本人にいくわけでして、先ほどの例で言いますと、Aさんが車を買い、お金を払うことになります。


以上から「代理」とは、『<代理人>が<本人>の代わりに<相手方>と契約等の法律行為を行い、その法律効果が<本人>に帰属すること。』です。

 この「代理」には、「任意代理」と「法定代理」があります。
「任意代理」とは、<本人>が<代理人>に代理権を与えて、代理行為をしてもらうという、子供の親などの法律上当然発生する「法定代理」以外の代理のことです。

さて、代理人には誰でもなれるのでしょうか?<本人>がいいのであれば、誰でも代理人にすることは出来ます。子供を代理人にして、損害を受けても本人が決めたのだから、本人が責任を負うのは当たり前です。

○代理権の範囲は?
「任意代理」の場合は、<本人><代理人>の当事者間で決めることになります。
「法定代理」の場合は法律上、定められた範囲です。例えば、相続財産管理人の場合は相続財産の管理の範囲で代理権が与えられることになります。
また、「任意代理」のときにそうですが、代理権の範囲を決めていないときは、代理人は保存行為・利用行為・改良行為ができることになっています。
家屋の修繕、消滅時効の中断などの保存行為。現金を銀行預金にする、物を賃貸するような収益を図る行為(利用行為)。家屋に造作をほどこすや無利息の貸付を利息付にするなど、財産の経済的効果を増加させる行為(改良行為)。
以上のことを代理権の範囲を決めていないときに任意代理人はすることができます。ただし、利用行為・改良行為については物や権利の性質を変えない範囲という制約があります。例えば、利用行為の場合は現金を株式にするとか、改良行為の場合は田畑を宅地にするような行為は出来ません。

○代理権が消滅する場合はどういう場合?
「任意代理権」の場合は、本人の死亡・破産 代理人の死亡・後見開始の裁判・破産 委任による代理は委任の終了  で代理権が消滅します。
「法定代理権」は、 本人の死亡 代理人の死亡・後見開始の裁判・破産  のときです。

○こういう代理は許されるの?
「自己契約」―自己契約とはAとBが契約するときにAがBの代理人となって契約する場合です。A一人で契約をすることになり、Bが不遜な損害を被ってしまいます。よって、こういう自己契約は認められていません。
「双方代理」―CがAだけでなくBの代理人となる場合です。結局、Cが勝手に契約を結ぶ(作る)ことになるので、この双方代理も認められていません。
しかし、債務の履行をする場合は例外的に認められています。例えば、すでに借金があって、その借金を返済するような場合です。

○代理人の代理人はいいの?
代理人が本人の代理人を選任する復代理という制度があります。

<本人>→代理権<代理人>→復代理権<復代理人>⇔<相手方>
                                  法律行為
                                    ↓
                                  その効果は<本人>に

復代理人を選任できる場合は決められています。
「任意代理」の場合は、原則として復代理人の選任は出来ません。ただし、本人の許諾がある場合、また代理人が長期入院するなどして代理行為が出来ないなどのやむをえない理由がある場合には、復代理人を選任できます。
「法定代理」の場合は、つねに復代理人を選任できることになっています。

また、復代理人が選任されても、代理人の代理権はなくなるわけではありません。そして、復代理人が行った法律行為の効果は本人に帰属します。
(*2003年8月29日)

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 第11回目           無責任な代理人!?

 <相手方>CさんはAさんの<代理人>と名乗るBさんと取引をしたが、実はそのBさんには代理権がなかった・・・・。
 代理を頼んでいないのに、勝手に代理人として契約を結ばれてその効果が本人にいくとすれば、Aさんは堪ったものではありません。例えば、Bさんが勝手に代理人として、冷蔵庫買ってきたから、金払ってね。といわれても、Aさんは代理を頼んだわけでもないし、また必要ないのに多額のお金を払わなければいけなくなる・・。
こういう、代理権がないのに代理人として代理行為をすることを『無権代理』といいます。(代理を行った者を『無権代理人』)

 さて、今回は無責任な代理人!?という題名のもと、権利がない代理『無権代理』に関して、見ていこうと思います。

 この『無権代理』には民法上もふたつの場合を想定して考えられています。

まず、一つ目。
狭義の無権代理。と呼ばれているものです。

なんの代理権もないのに勝手に代理行為をすること、のことです。
先ほどの例え話のことですね。
本来は代理行為の効果は<本人>に帰属します。つまり、<本人>のために<代理人>が車を買う取引をしたら、お金を払う代わりに<本人>がその車を取得することになります。
無権代理のときも、契約等の法律の効果が本人に帰属したら、本人は泣いても泣ききれません。よって、原則、無権代理の効果は無効です。つまり、その無権代理人が行った代理行為は効力がない―<本人>に帰属しないということになります。
ここで原則・・と書いたのは、<本人>がその無権代理を追認(有効なものと認めること)した場合は、例外として無権代理行為も認められるからです。
先ほどの例で、Bさんが勝手に冷蔵庫を代理人と称して買ってきた。本来は無権代理なので<本人>Aさんはお金を払う必要なんてありません。しかし、例外にAさんは実はちょうど冷蔵庫が欲しかった。Bさんが勝手に冷蔵庫を買う取引したといっても、冷蔵庫欲しかったし、まあいいか。と言って、追認した時はその無権代理は無効にならず、有効なものとして、一般的な代理の通りその効果は<本人>に帰属します。つまり、冷蔵庫はAさんの物になるというわけです。もちろん、お金を支払ってのことですけど。
以上のように『無権代理』は原則、無効ですけど、例外的に<本人>の追認がある場合は有効とされます。

さて、『無権代理』行為は原則、無効といいました。しかし、無効となった場合、損をする人がいます。<相手方>Cさんです。
折角、冷蔵庫売れたのに、『無権代理』だったことでその売買契約が無効とされたら、Cさんにとっては損害です。
このために、<相手方>の保護が民法に定められています。
@として、催告権。
CさんはAさんに対し、無権代理であるBさんの代理行為を追認するかどうか、催告する権利があります。
Aさんが追認すれば、その無権代理行為も有効になりますし、追認しなければ完全に無効となります。

Aとして、取消権。
Cさんが、Bさんが『無権代理人』であることを知らなかったときは、Aさんが追認をする前に取り消すことが出来ます。

Bとして、無権代理人に対しての責任の追及。です。
勝手に<本人>及び<相手方>が損をする(するかもしれない)、無権代理行為をする無権代理人が責任を負うのは当たり前です。
民法でも、「無権代理人は、代理権が与えられていることを証明できず、かつ、本人の追認を得られなかったときは、相手方の選択に従って、その行為を履行するか、損害の賠償を負う」となっています。
例でいうと、無権代理人Bさんは<本人>Aさんから追認を得られなかったときは(代理権も証明できない)、<相手方>Cさんの選択により、Bさん自身が冷蔵庫を買うか、また、冷蔵庫の売買契約を履行できなかったばっかりにCさんが受けた損害賠償を支払う義務が出てきます。
ただ・・・・・・!例外的に『無権代理人』Bさんが責任を負わない場合があります。
<相手方>Cさんがこの無権代理に関して善意無過失でないこと。と、無権代理人が制限能力者であること(能力がない)。の場合です。
善意無過失・・・・・・無権代理であることを“知らなくて”その知らないことに“過失(注意不足がある)”がない、場合はCさんはBさんに責任を追及できますが、
善意無過失でないつまり、悪意有過失・・・・・無権代理であることを“知っていて”または”注意すれば無権代理であることがわかる”場合は、Cさんはその責任を追及できません。Bさんは責任を負わなくていいことになります。
Cさんは無権代理であることを知っているのですから、その損害を受けても仕方ないという考えです。
また、Bさんが制限能力者―未成年や成年被後見人などの場合も例外的に、<相手方>は責任を追求できないことになっています。未成年などに重い責任を課すのはかわいそう・・・不適当だという趣旨からあるそうです。ただ、制限能力者といっても、損害を与えるために故意で行った場合など、犯罪に等しいような場合は責任を負わなくてはいけないと考えられます。


さて、『無権代理』はふたつの想定があるといいましたが、次です。

二つ目。次の場合のことを特別に『表見代理』と呼んで、<相手方>が善意無過失であるとき、<本人>に責任を負わせることになっています。

@代理権授与の表示があるとき―<本人>が<代理人>に代理権を与えた旨を<相手方>に表示したが、実際は与えていなかったとき。
例えば、請負人が下請人に自分の名義を使用して工事をすることを認めた場合のことです。

A代理権ゆ越のとき―現実に存在する代理権限の範囲を逸脱した無権代理行為。
例えば、不動産の賃借の代理権を与えられた者がその不動産を売却した場合です。

B代理権消滅後の代理行為―代理人でなくなった者が行った無権代理行為のこと。
例えば、土地の売買の代理権が消滅した後に、売買をしてしまった場合です。

以上のどれかにあてはまり、かつ<相手方>が善意無過失(知らなくて、知らないことに過失がない場合)のときは、『表見代理』と称して、代理権が当初からあった場合と同様の効果を<本人>に生じさせる。つまり、<本人>にその責任を負わせる、ことになっています。
これは、<本人>に何らかの落ち度、帰責事由があるからです。
もちろん、<本人>が<相手方>に対して責任を負うといって、『表見代理』を行った<無権代理人>が何の責任を負わなくても言い訳ではありません。
<本人>は勝手な<代理人>に対して、不法行為に基づく損害賠償を求めることが出来ますし、<相手方>も<本人>でなく<代理人>に責任を求めることができます。
結局、無権代理行為をした者に責任が負わされる仕組みなのです。
この『表見代理』の制度は取引の安全いう趣旨からあります。つまり、有効なものとして取引をした<相手方>が、代理権があるように見えるのに無権代理だからといって無効だ、ということになったら取引を安全に行うことは出来なくなります。いつ無効になるかもしれないとびくびくしてしまいますから。

○『無権代理』  →狭義の無権代理

            →表見代理

  (*2003年9月5日)

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  第12回目          無効と取り消し

  今回は、効力がなくなるとき―つまり、無効と取り消しについての話です。

 まずはじめに、無効とは・・・初めから、効力がないことです。
例えば、売買契約が無効となりましたら、初めからその契約の効力はなかったことになります。少し突っ込んだ話をしますと、売買契約が無効となるとき、金銭など払う前なら無効なので支払う必要はありません。また、金銭など支払った後に無効となれば、もちろんその金銭などは戻ってきます。

取り消しとは・・・・・取り消す権利がある者が、「取り消す」ことを主張することで、その効力がなくなること、です。別の言い方をしますと、取り消されるまでは、一応有効で、取り消されて初めて無効になるのが取り消しです。
取り消されると、最初にさかのぼって無効になります。
ここで、なぜ最初に“さかのぼって”無効になるのかと言いますと・・
例  4月1日に買主Aさんは売主BさんからB所有の建物1000万で購入する売買契約を結んだ。
4月5日にAさんはBさんにお金を支払い、Bさんは建物の所有権移転の手続きをした。
4月10日にAさんはBさんが詐欺を行ったことを知り、そのため損害をこうむったので建物売買契約を取り消した。

さて、事例で取り消しの効果がさかのぼらなかったとすると4月10日から、その契約は無効ということになりますが、4月10日までは有効ということになってしまいます!!つまり、A,Bとも4月10日までの行動は有効なので、金銭などの渡すことも有効・・・返還する必要がない、ということになってしまいます。そうなるなら、取り消した意味がありません。
したがって、最初に“さかのぼって”無効となるのです。
つまり、取り消されると契約時の4月1日にさかのぼって無効になります。そのため、金銭などの受け渡しも無効なので、それぞれ返還しなければなりません。


 @無効について
 トップでも言いましたように、無効とは初めから効力がないことです。
例えば、どういう場合が無効になるかと言いますと、公序良俗違反(賭博に使うことを知ってされた金銭消費貸借など)や錯誤無効(Bと取引するはずだったのに、勘違いでCと取引をしてしまったなど)などです。
 無効は基本的にいつ、誰からも無効を主張できます。(もちろん例外はあります。例えば、錯誤無効は錯誤者が主張する。)
 無効は追認(取り消さず、有効なものとするという意思表示)があっても、効力は発生せず、無効であることを知ってもまた、追認した時は、その時点で新たな行為(契約等)をしたことになります。

 A取り消しについて
 取り消しは、取り消す権利がある者が取り消すまで一応有効で、取り消しがあると最初から無効になります。
 この取り消しには無効と違い、取消権者(取り消しが出来る人)が法定されています。
 ○取消権者となれるのは・・
 A制限能力を理由とする場合―制限能力者本人、その代理人、承継人、同意をなすことの出来る者     です。
 未成年者が両親の同意なく取引をした場合、原則取り消せることは、前にありました。その場合で、取り消しを主張できるのは、上記の者です。
上での承継人とは例えば、制限能力者を相続した者、同意をなすことの出来る者とは保佐人、補助人のことです。

 B詐欺又は強迫を理由とする場合―意思表示をした本人、その代理人、承継人  です。

  ○次に、何度も出ていますが、取り消しの効果は、最初にさかのぼって無効になります。したがって、それまでに受け取っていた物は返還する必要があります。
ただし、制限能力を理由として取り消す場合は、制限能力者は「現に利益を受ける限度」において償還すればよい、という規定が法定されています。
この「現に利益を受ける限度」(現存利益といいます)とは、
例えば、未成年者Cは自己の持ち物である10万円の宝石をDに売り渡した後、未成年者を理由に取り消した。Cは取り消すまでに、5万円を遊びで浪費していた(つまり、取り消し時は5万円しかない)。
したがって、Cが取り消し時にある現存利益は5万円です。だから、5万円だけDに返還すればいいことになります。
ただし、Cが使った5万円が学費や生活費として使われた場合は、Cは10万円全部返還しなければなりません。これは、学費や生活費は本来使うはずのお金なのに、それに当てたことは本来使うべきお金を使わずにすんだ・・という理由です。
  人によっては、この規定はおかしいのではないのか?と思う人もいると思います。残っている分だけ返せばいいって・・。
この規定の訳の一つに、知って未成年など制限能力者と取引をする場合の相手方は、その危険を知る必要がある、というのがあります。
制限能力者との取引は原則取り消すことができる、また行為能力がない相手と取引するわけなので危険があるのはわかります。それを知ったうえで取引をするのだから、損害の危険も背負わなければなりません。
  
 ○取り消さない時―追認
 取り消せるものを取り消さず、有効なものとする。別の言い方をすると、一応有効なものを最初から完全に有効なものとすること、を追認と言います。
つまり、追認は、取消権を放棄しますよ、ということです。
 追認が出来る者は、取消権者です。ただし、制限能力者は能力を回復した後でなければ、単独で追認はできません。未成年者の場合は成年者になるまでは本人一人で追認出来ないわけです。また、強迫等な場合はその強迫の状態がなくなった後でなければ有効な追認となりません。これらは、取消権を放棄するので、そのあたりの事情を知って行わなければ意味がないからです。
  追認しますと、最初から有効なものとみなされます。一応有効なものが、完全に有効となるわけです。

 ○取り消し、追認の方法
 取り消し、追認の方法は相手方にその意思表示をすればいいことになっています。別に訴訟を起こす必要はないという意味です。もちろん、相手方が反対する場合は訴訟になるかもしれませんが。

 ○取り消しができなくなるとき―法定追認
 取消権者が追認できるようになった後、次の行為をした場合は、追認をしたこととみなされ、取り消すことができなくなります。
 A 全部または一部の履行・・・金銭を支払ったり、受け取ったりしたときです。
 B 履行の請求・・・商品を手渡すように言った場合など。
 C 更改・・・100万円支払うという債務を、100万円相当の車を譲渡するという債務に替える契約など。
 D 担保の供与
 E 取り消すことの出来る行為によって所得した権利の全部または一部の譲渡・・・売買契約で土地を買った者がその土地を別の第三者に売り渡したというような場合です。
 F 強制執行
以上のことがあると相手方は取消権者が追認したものと考えてしまいますから、民法で追認したものとみなされるわけです。
ただし、これらの行為をする時に、追認したわけではありませんと異議を留めたときは、法定追認にはなりません。

 ○取り消しの消滅時効
 取消権には消滅時効があります。
追認ができるようになったときから5年、行為のときから20年の消滅時効があります。
 例えば、成年被後見人EとFが取引をした場合、Eが能力を回復・・・成年被後見人でなくなったときに追認ができるようになります。それから5年内に取消権を行使しないと消滅時効にかかります。また、EとFの取引後、Eが能力が回復しなくても20年過ぎると、消滅時効にかかってしまいます。

効力 主張できる者・追認 消滅時効
無効 最初から効力がない 誰でも。例外多々あり。
追認できない
場合によってある(つまり、一定の時期を越えると無効を主張できないことも)
取り消し 一応有効だが、取り消しによって最初に遡って無効になる 法定の取消権者
追認あり
追認できる時から5年
行為のときから20年

 (*2003年9月12日)

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 第13回目          条件付、期限付き・期間の考え

  「もし、大学に合格したら、車をやろう」「現在、仕送りをしているが、試験に落ちたら仕送りを止める」などのように、一定の条件がある場合はどうなるか?
また、期限、期間は法律上、どうなっているかについて、今回は見ていこうと思います。

 条件とは、次のように定義されています。
『法律行為の効力または消滅を、将来の成否不確定な事実にかからせる、ということ』  です。
 「もし、大学に合格したら車をやろう」のように、大学に合格しなければ、車はもらえない―つまり、車をもらう(あげる)という贈与の法律行為の効果が、大学を合格できれば、という将来発生するのが不確定な(合格するかどうかはわからない)事実にかかる、ということを言っています。
この条件での重要な点に、将来の成否不確定があります。
「20歳になれば、車をあげよう」という場合では、将来20歳になることは確定しています。20歳になるのに別に試験があるわけではありません。つまり、こういう場合はここでの“条件”ではないわけです。
試験に合格する、会社を作るなど、将来において本当に実現するかわからない事実の成否により、法律効果を発生、消滅させるのが“条件”であります。
 この“条件”には『停止条件』と『解除条件』というのがあります。
『停止条件』とは・・・
 何回も出ていますが「もし、大学に合格したら、車をやろう」のように、条件が成就したときに、法律効果が発生するような場合を、停止条件といいます。この場合は条件が成就しなければ、無効ということになります。つまり、合格しなければ車をあげる(もらえない?)必要はないわけです。
『解除条件』とは・・・
 「現在、仕送りをしているが、試験に落ちたら仕送りを止める」のように、条件(試験に落ちたら)が成就したときに、法律効果が消滅するような場合を、解除条件といいます。成就しなければ、効力(この場合、仕送りを止める)は消滅しません。
 条件が成就したら、効力が発生するのが『停止条件』、条件が成就したら、効力が消滅するのが『解除条件』です。

 次に、条件付権利はどの程度保護されるのでしょうか?
民法128条では、条件付権利の不可侵ということで「条件付法律行為の場合、条件の成就が未確定の間において、条件の成就により生ずべき相手側の利益を害してはいけない」というようなことが定められています。
つまり、期待権ということで、条件が成就するまえに、その贈与する物を贈与者が壊してしまった、というような場合は贈与者は責任を負わなくてはいけないわけです。(停止)条件が成就する前に、贈与する物を勝手に処分したらダメ、その場合は損害賠償の責任を負う。ということです。
また、条件成就が未確定の当事者の権利・義務は通常の権利・義務と同じく、処分、保存、担保や相続をすることができることになっています(民法129条)。

条件付の場合は、条件が成立(成就)することで、効力が発生したり、消滅したりするわけですが、場合により、、条件が成立すると損をするので条件の成立を邪魔してやる、という人もいるかもしれません。そういうときに関しても、民法は考えていて、条件成立により不利益を受ける人が故意に条件の成就の妨害した場合は、相手方は条件が成立したものとみなされることになっています。
例えば、Cさんと契約を結んできたら、報酬を与えるとAさんがBさんに言った場合に、Aさんがわざと、BC間の契約の邪魔をした場合は、Bさんは条件が成就したとみなして(例え、契約が結べなくても)、Aさんから報酬を受け取ることができます。

この、条件付法律行為は、条件とその効果が結びついているのが特徴ですが、“条件”の内容により、いろいろなことが考えられます。
以下、4パターンを見ておこうと思います。

@既成条件
条件付の法律行為(契約など)をしたときに、既に条件が成就(成立)していた場合です。
例えば、二十歳の人に二十歳になったら車をあげようと言った場合のことです。すでに、二十歳になっているのでこんな条件をつけるのもおかしいのですが、もしかしたら気づかずにこういう条件をつけることもあるかもしれません。
さて、契約当時すでに条件が成就している時は、次のようになります。
停止条件の場合 ― 無条件
解除条件の場合 ― 無効
上記の場合は、停止条件なので、無条件、つまり二十歳の人に車をあげなくてはいけません。

反対に、条件成就が既に不成就になっていた場合は
停止条件 ― 無効
解除条件 ― 無条件
となります。

A不能条件
 条件成就が不可能な場合の話です。
例えば、歩いて1時間で世界1周すれば100万やろう、というふうな場合です。
1時間で世界1周など不可能です(それも歩いて)。このような条件を付けた場合は・・・
停止条件の場合 ― 無効
解除条件の場合 ― 無条件
となります。
上記の場合は、無効となります。
*不能の解除条件の例
「一人暮らしをしている大学生に対して、今、毎月仕送りをしているが、君が赤ん坊(0、1歳)になったら、仕送りをやめる」
この場合は、無条件ですので、仕送りは続きます。
(←もちろん、ありえないような話ですけど)

B不法条件
 条件が法律に反している場合です。
例えば、あいつを殺せば、金をやろうという場合です。
不法の条件がある法律行為は、無効です。上記の例も無効(そもそも公序良俗違反)です(当たり前ですけど)。
また、不法なことをしないという条件も無効です。
例えば、犯罪をしなければ、お金をやろう、という場合です。
犯罪をしないのは当然のことですので、こういう条件はつけるべきではないからです。

C純粋随意条件
 停止条件の場合で、その条件が単に債務者の意思のみにかかるときは、その法律行為は無効です。
 例えば、お金の貸し借りで、気が向いたらお金返す、というような場合です。

停止条件付法律行為 解除条件付法律行為
既成条件 aすでに条件成立
       bすでに条件が不成立
a無条件
b無効
a無効
b無条件
不能条件 無効  無条件
不法条件 無効 無効
純粋随意条件 無効 通常の単なる解除条件として有効

 
 次に、条件は将来、発生が不確実な場合の話でしたが、将来、発生確実な場合のことを、“期限”といいます。

 “期限”には始期(法律の効力が発生する時期)と終期(効力が消滅する時期)があります。
 例えば、AB間で(Aが借主、Bが貸主)4月1日から5年後の3月31日までとしての、部屋の貸し借り(賃貸借)があったとします。
 この場合、Aは4月1日になるまでは、部屋を使うことは出来ません。まだ、始期―期限がきていないからです。そして、5年後の3月31日にこの貸し借りは終了(終期到来)することになります。

期限の利益というのがあります。
 「1年後に借りた100万を返せばいい」というような場合です。
この場合、お金を借りた人は、1年後までお金を返す必要がないわけです。こういう期限があることによって受ける利益のことを期限の利益とよんでいます。
 期限をつけない場合は、相手側の請求があったときに返還しないと、債務不履行―つまり、借りた人は損害の賠償責任が発生します。
 期限の利益は相手方の利益を害さない限りで放棄できます。
上記の例では、1年経つ前にお金を返しても別にかまわないというわけです。
「相手方の利益を害さない限り」とありますが、期限があるために受ける利益がある場合、上記の場合で利息が付いている場合で、早くお金を返されたら、もらうはずの利息が少なくなります。つまり、貸し手側は損害を被っているわけで、この場合で借主は期限より早く返す場合でも、1年分の利息をつけて返す必要があるというわけです。(この辺は、契約内容によって取扱いは変わることもあります)

期限の利益があるといっても、債務者が故意に担保を壊したりした場合など、一定の事項がある場合は、期限の利益が喪失する、という規定も法定されています。


法律行為の効力の発生(消滅)が将来の、
発生不確定な事実による ⇒ 条件
発生確実な事実(遅かれ早かれ必ず起こる)による  ⇒ 期限


最後に・・・
いつからいつまで・・・・難しく言うと、ある時点からある時点までの継続した時の区分 のことを期間といいます。
普通に、3日間・4月1日から5月10日まで というようなものが期間です。
期間で大切なのは、期間の計算方法です。2つの方法に分けられます。
@時・分・秒を単位とする時間の場合
 この場合は、即時に計算します。3時間後、という場合は、その時から3時間後となります。

A日・月・年など、1日を最小の単位とする場合
 この場合は、初日が算入されません(初日不算入の原則)。
例えば、平成15年9月1日にいまから1年後という場合は、初日は入らないので、
平成15年9月2日0時〜平成16年の9月1日24時まで という計算方法になります。
例外として、午前0時から始まるような場合、年齢計算、戸籍法の届(出生届など)の場合は初日算入が取られています。

(*2003年9月19日)

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 第14回目            時 効 

  今回は、時効の話です。
 時効はかなり身近な感じがします。一般的にも、時効という言葉を普通に使っている雰囲気があります。それだけ、時効というのはわかりやすいものなのかもしれません。
 さて、時効制度の意義は、「ある事実状態が、一定期間(長時間)続いた場合、例えその事実状態が本当の権利関係と違っていても、一定期間続いた実態を尊重して認めよう」 ― 一定期間(長時間)続いていたものを覆して、駄目だ、ということにすると、そこまでに至った関係がすべて無駄になるので社会的にも不安定になり、問題になる・・・。
ということが、意義の一つとして考えられています。
この例えは、A→B→C→・・・ と土地甲の権利が変わっていったとします。
この土地甲はもともとはAのものでなく、別の人(Z)の物であったが、Aは自分の物であったと思い、Bに売り渡しました。その後、B→C→・・・と土地甲の権利は変わっていきました。現在はEの物で、AがBに売り渡した時からすでに80年も経っています・・。
 80年も経った後に、Zの子Qがそれは父の物―相続して自分の物だ、と言ってきてそれが認められたら、大変なことになります。ABCDEと続いた土地甲の権利関係がおかしくなります。それらの売買契約自体が全部おかしくなってしまいます(権利義務関連で)。80年も経っているので、いまさらどうしようもありません。また、それまで放っておいたZ(Q)にも、問題があるでしょう。
この辺の複雑な権利関係が覆ると、こんがらがって社会的にも不安定になりますし、それに、長いこと放っておいた者を保護するのも、法の安定性に反することになりかねません。よって、時効が認められるのです。
 一定期間(長い間)続いた関係を覆すことによっての社会的不安定、真実の権利者が権利を放っておいたことに対する罰(ペナルティー)―法的安定性の確保 から時効というのがあると考えられます。

 さて、時効には2種類の時効があります。取得時効と消滅時効です。

 まず、取得時効から・・・・・
 本当の他人の物だが、長い間、自分の物として使っていた場合にはその人の物になる というのが取得時効です。かつて持っていなかった権利を時間の経過により取得することをいいます。
 取得時効に対象となる権利は、所有権とその他の財産権(用益物権、賃借権など)です。
 取得時効の完成要件は、所有する意思をもって、平穏かつ公然と占有していて、悪意有過失の場合は20年間、善意無過失の場合は10年間経てば、所得時効により所有権等を取得します。
 ここで、「所有する意思をもって」とは、賃貸借はこの場合にあてはまりません。「平穏かつ公然と占有」は普通に所持していればいいのだけど、隠して所持していたり無理やりの所持は駄目だという意味です。悪意は他人の物と知っていた場合、善意は他人の物と知らなかった場合です。

取得時効

権利の対象 成立要件 必要期間
所有権
(その他の財産権も)
所有する意思をもって
平穏かつ公然に占有すること
*悪意又は有過失は20年
*善意無過失は10年

 
 続いて、消滅時効です。
AがBにお金を貸した場合でも、10年間請求しないと、AはBにお金を返せといえなくなり、Bも支払う必要がなくなります。つまり、AのBに対する権利が消滅するわけで、一定期間、権利を行使しないとその権利がなくなるのが、消滅時効です。
 消滅時効の対象となる権利は、債権、債権以外の財産権です。しかし、所有権は消滅時効にかかりません。
権利行使が出来る時から、債権は10年、債権以外の財産権は20年、権利を行使しないと消滅時効により、その権利が消滅します。もう一度いいますが、所有権は消滅時効にかかりません。ただ、他人の取得時効により所有権がなくなることはありますが、時効による所有権の消滅はありません。
権利行使できるときからとは、例えば停止条件の場合は条件成就したときからということになります。つまり、権利を行使しようと思えば出来るのにしなかった場合に消滅時効が発生するわけです。

 消滅時効

対象となる権利 権利を行使しないと消滅時効にかかる期間
債権以外の財産権 20年
債権 10年
定期的に給付される債権 5年
医者の治療費、大工の工事費用など 3年
弁護士費用、塾の授業料、理髪店などの散髪代など 2年
飲食代、宿泊料、運送費など 1年
確定判決により確定された権利 一律10年

一般的に債権は10年ですが、消滅時効の期間が短期のものもあります。


さて、時効にかかっているといっても、何もしなければ、時効の効力は発生しません。時効の効力を発生させるには、時効の援用(時効完成の利益を受けるという意思表示)が必要です。
例えば、裁判で金返せと言われたときに、消滅時効にかかっているから払わなくてもいいやと思っていても、そのことを裁判で言わないと、裁判所はその消滅時効を裁判の判断材料として使わない―つまり、時効により債権が消滅したとは裁判所側はいいません。当事者の時効の援用が必要です。
 時効の援用があれば、時効の効力が発生しますが、その効力はいつから発生するのでしょうか?法律では、起算日にさかのぼって、時効の効力が発生するとなっています。
つまり、取得時効の場合で、10年で所得時効が完成した場合は10年前から自分の物ということになります。
消滅時効の場合は、10年経つと初め(起算日)から、債権債務はなかったことになります。
時効の利益は、前もって放棄することは出来ません。しかし、時効が完成した後で、時効の利益を放棄するのはかまいません。時効により取得した土地を返したり、消滅時効にかかった借りたお金を返すのは自由です。つまり、30年前の借金でも返したければ、返すのもいいというわけです。時効により消滅した、というふうにしたければ、そのことを相手側に伝えれば、いいわけです。

 飲食代は1年で消滅時効にかかりますが、1年間払わなかった払わなくていい、ということになれば、払わない人が多く出てきます。そのために、ある事項があると、時効期間が無意味になり、もう一度計算しなおす、という制度があります。時効の中断がそれです。
時効は次の事由により中断します
@請求   訴えを起こして、裁判上で請求すると時効は中断します。ただし、訴えが却下された場合や、取り下げた場合は時効は中断しません。
裁判外での請求は、請求(催告)後、6ヶ月以内に裁判など強力な中断行為をしなければ、中断の効力は生じません。
例えば、飲食代のつけ(時効1年)があと1ヶ月で消滅時効になるので、つけを払えと請求(催告)しました。その後、6か月以内に裁判上の請求をするなど、強力な手段をとれば、時効は中断し、もう一度1年経たないと(確定判決は10年になる)消滅時効にはなりませんが、催告後、なにもしないで6ヶ月たつと、消滅時効は完成し、もはや払ってくれとは言えなくなります。(もちろん、相手側が払おうとするのは構いません)

A差し押さえ、仮差押、仮処分
 これらの行為があったときは時効は中断することになります。

B承認
 借金の場合で、自分に債務があるのを認めることを承認といいます。承認があれば、時効は中断します。飲食代のつけでも、あなたにはこれこれのつけがあるんだよと書面で認めさせれば、そのときからもう一度、期間の計算は初めからとなるわけです。

時効が中断すれば、1から計算しなおすことになります。つまり10年の消滅時効で9年経った時(後1年で完成する)に時効中断事由があると、そこから、もう一度10年経たないと、消滅時効は完成しないということです。

その他、時効の停止というのがあります。天災などで、相手の場所に行けなくなりお金が払えなくなったという場合は、その天災がなくなったあと2週間は時効は完成しない、というのが一例です。

 (*2003年9月25日)

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とりあえず、あとがき。

 「民法に入る」はこれまで、総則編として行っていました。民法の条文の順番どおりに見てきました次第です。民法(私権)の基本原則から時効までの範囲でしたが、やはり難しく感じた人もいると思います。法律は取っ付きにくいところがありますので・・。ここの総則編は、どちらかと言えば条文中心でその解説という感じでした。そのためにわかりにくい所も多々あったとあります。
民法は特に奥深く、解釈も幾通りあり(考えられ)、まず、概要でも知ってもらえればいいかなと思います。
さてさて、次回は「民法に入る」第2弾ということで、物権・債権などに入りますが、出来れば趣向を変えたいと考えています(もしかしたら同じ風になるかもしれませんが)。条文の解説より、事例を中心にしていけたら、と思っています。
次回「民法に入る」第2弾も、お付き合い願いたく存じ上げます。