相続遺言相談室トップへ


 相続話A〜遺産分割協議は・・・@〜

 相続の基礎はこちらから ⇒ 相続の基礎知識

 ○実務上、相続における預金の名義変更・払戻し請求や、不動産等の名義変更手続きなどの手続きに、遺産分割協議書が必要になってくることが大半です。
 預貯金債権は、判例上も、相続開始時ともに当然に分割され、各相続人はその相続分に応じて権利を承継するという当然分割説を取っているのだから、(遺産分割協議がなくても)私の相続分に応じて預貯金の払戻しをしてくれ!といっても、銀行等は応じてくれません。必要書類として、相続人全員で協議したことを表す遺産分割協議書(また、それに代わる書類)を求められます。

 相続人は、相続開始(被相続人の死亡)によって、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継しますが、相続人が数人いる場合は、共有に属するものとなり、その共同相続人の共同所有となった相続財産は、遺産分割手続きを通して、各相続人に帰属、財産関係を解消することになるわけです。
 
 遺言書がある場合は別として、相続財産の清算等に関しては、遺産分割協議が必要になってきます。
その前提問題に、まず、相続人が誰かという相続人の確定作業が必要になってきます。相続人の確定作業が必要になってくる理由は、分割協議に参加した相続人が無資格者であったり、一人の相続人を除いてした遺産分割協議は、原則無効になりますので、相続人の確定作業をしないと、遺産分割が始まらない(しても、無駄になる可能性が高い)からです。


 ○戸籍謄本等を集めて、相続人の確定作業をするわけですが、相続人が配偶者・子ぐらいでしたら、戸籍収集するにしてもそれほど面倒ではありませんが、相続人が、兄弟姉妹・甥姪になると、面倒になってきます。
 
 まあ戸籍の収集についてはここでは省きますが、戸籍等の収集により、相続人を確定して初めて、その相続人間で遺産分割協議をすることができるようになります。
 その遺産分割協議ですが、別に、一箇所に集まって、たいそうな家族会議、親族会議をしなければならないということもなく、手紙やメールなどで話し合って決めていっても当然、問題ありません。最終的に、遺産分割の結果を相続人全員が承諾すれば良いわけですので、協議の方法はやりやすい方法ですればいいということになるでしょう。
 ただし、先にも書いたように、誰か相続人を省いた遺産分割協議は原則無効です。相続人の中には、行方不明者や、協議に参加しようとしない人もいるでしょう。また、相続においては、胎児も対象になりますので、その辺りの取り扱いも気にしなければなりません。(胎児に関しては、複数生まれてくることもあり、生まれてこない可能性もあり、相続人の数が不明として、基本的に分割協議は生まれてからする方が良いかもしれません。
 行方不明者に対しては、不在者財産管理人を立てたり、協議に参加しない人がいる場合は、協議することができないとして、家庭裁判所に遺産分割の審判を求めることが考えられます。)

 (相続人全員で)話し合い、それぞれの意思を確認した遺産分割が終了したら、(口だけでは後から問題が出てきますので、)遺産分割の結果を、遺産分割協議書として残しておきます。私はこんなこと認めた覚えはない!ということにならないために、それぞれが承諾したということを証明するため、協議書には署名・実印を押すことになります。

 他の契約書面でも同様ですが、遺産分割協議書の文面は、具体的に記載することが必要です。
例えば、土地に関して、どこそこにある土地という記載では駄目で、登記簿謄本などに記載されている所在・地番・地目・地積をきとんと書くことが必要です。(手続き先の人が)客観的に見て、財産を限定できるように記載するべきです。相続人同士ではわかっても、他の人から見れば、判断つかないというのは(相続手続きに使う物としては)駄目ということですね。
また、内容があいまいでも、協議書自体は有効でしょうが、いざ、その協議書で争いになったときに、あいまいだと第三者(裁判官など)は協議書の内容を判断できなくて、別途別の事項で正しいか正しくないか判断するしかなく、そういうことですと(協議書があってもなくても大して変わらないのなら)、協議書を作成した意味がありません。
 第三者が見てもわかるように、きちんと具体的に書くということを心がけましょう。


遺産分割協議書の作成、相談等ありましたら、いつでもご連絡ください ⇒ 

最後までお読みいただき有難うございました。


トップへ