相続手続きは意外に大変・・・?
○相続手続は意外に大変です。
土地建物の名義変更、銀行の名義変更などの相続手続をするに当たって、まず戸籍を集めるのですが、
(必要になってきます)亡くなった人(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍、除籍、改正原戸籍を
集めるのは慣れていないと結構難しいです(除籍、改正原戸籍なんて聞きなれない言葉が既にある!)。
一つの本籍地だけで全部集まれば苦労はしませんが、転籍していたり、結婚して
別の本籍地へ移っていたりすると、前の本籍地、前の本籍地へと請求しなくてはいけません。
更に、亡くなった人に子供がいない時は、親の戸籍、除籍、改正原戸籍、またご兄弟のそれらの戸籍等を集める必要も出てきます。
最終的に相続人になれる、亡くなった人の甥、姪の戸籍まで必要になってくることもあり、考えただけでも、うわあ、大変だなあとは思いませんか?
苦労して戸籍を集めたあとでも、遺産の分割でみんなが納得できればすんなりと
いくのですが、一人でも、こんなの納得できないと言えば、さてさて、ここでも大変な目に遭います。
遺言書を作っておくと、遺産の分割がすんなりといくと思うかもしれませんが、
場合によっては、遺言書があっても、苦労するのです!?
より良い遺言書の作成、そして、相続手続で困った時にご相談、またお手伝いしてくれる
ところがあったら助かります。
それが、この相続遺言相談室 なのです。
○まず、遺言について考えてみましょう。
「遺言」とは、死後について言い残しておく言葉のことで、特に法律上の「遺言」は、「自己の死亡とともに、身分上、財産上の法的効果を発生させる目的で一定の方式に従って行う、相手側のない単独の法律行為」という意味で用いられます。
「遺言」をするのは、当たり前だと思いますが、本人であり、その本人に遺言をできる能力がなくてはいけません。
民法上、遺言は「満十五歳に達した者は、遺言をすることができる」とあり、満十五歳以上であれば、本人の意思さえあれば、遺言をすることができるのです。
遺言をするということで、遺言書を作成するわけですが、上の文書で色を変えた部分を少し見てください。(→この色です)
「一定の方式」とありますね。
そうです。法律上、有効な遺言といえるための条件として、一定の方式で作成された遺言であることが必要なのです。
これは遺言の要式性と呼ばれており、法律上に定める方式によって作成されない遺言は、いくら素晴らしい内容のもの(お?)でも、無効となってしまうのです。
ということで、遺言をしようとする人は、有効な遺言書を作るための方法(方式)を知らなくてなりません。
(それについては、「遺言書作成」ページで・・・)
法律上の方式に従い、遺言書を作成しました。
これで一安心かと思いきや・・・。
さて、ちょっとここで遺言書を作成する理由を考えてみますと、
当然ですが、自分の死後についてのことを言い残すことができる、という点の他、
自分の相続で家族内で争いにならないために用意しておくということ、また、特定の人に財産を渡したいというなどの、理由がとりあえず浮かびます。
もちろん、遺言書を残す理由というのは人それぞれですが、遺言書があることのメリットとして、紛争予防が上げられるでしょう。次に、残された人たちが相続手続を円滑に進めることができるというメリットも考えられます。
○遺言を作成する理由によって、その内容を考えるのは、とても大切で、紛争予防や相続手続の円滑のため観点から見ても、遺言の内容によっては当初の目的(?)の紛争予防や相続手続円滑が反対に阻害されてしまうおそれもあります。
遺言の内容の十分な考案と、そして、遺言によって想定されるリスクを把握することも遺言をする大切な事柄であり、方式に従った遺言書を作っただけでは、必ずしも一安心(?)とはいえません。
例えば、子供三人いる人が、ある一人の子に財産を残したいと考えて、その子供に自分の財産を渡す旨の遺言書を作りました。
その遺言で、他の子供にもそれなりの財産を渡すことを書いていれば、紛争は防げるのかもしれませんが、一人の子に全財産を渡す、や、他の子供への財産は少しだけで、ほとんどその子供に渡すという内容では、他の子供が納得できなくて、紛争が勃発するかもしれません。遺言書があるから、と一人の子が強気に出ても、「遺留分」ということで、一定の範囲でですが、残念な結果に終わってしまうことがあり得ます。
また、遺言書があったとしても、名義書換えの手続の段階で、他の相続人の協力が実質必要になってくることもあり、遺言書があるがために、実際の手続で苦労することもあり得ます。
この上記二点の問題は、遺言書の内容(また遺言の方式)によって、十分防げる問題です(100%絶対防げるというわけではないのですが・・・)。
→という以上の点を考えながら、遺言の方式やそのメリット、デメリット、そして、遺言相続に関して知っておきたい法律など「遺言書作成」ページをご覧ください。。
相続遺言についてのお問い合わせはこちらから ⇒
○相続手続のおおよその流れは次の通りになります。
被相続人の死亡 → @相続人を調べる(相続人の確定) → B相続の承認・放棄
A相続財産の把握(財産目録作成)
→ C遺産分割協議 → D名義変更等の実際の手続
遺言がある場合は、Cの遺産分割協議が不必要な場合がありますが、大体よく似た流れで、場合により、遺言の検認手続が必要になります。
相続手続をするにあたり、誰が相続人になるのか、まずこれをはっきりしなければなりません。
一定の家族内で相続人は私と彼、彼女ね?と話しても、本当にそうなのかは、第三者(この場合、役所や法務局、銀行など)から見れば、わかりませんし、もしかしたら、家族も知らない相続人が他にいるかもしれません。。
それを調べるために、また、第三者に相続人が誰か証明するために、戸籍が必要になってくるわけで・・・
冒頭にも書きましたが、まず、被相続人の生まれてから死亡するまでの全戸籍(戸籍・除籍謄本、改正原戸籍)を集める必要が出てきます。
転籍等繰り返していると、順に追って請求しなければなりませんし、改正原戸籍(戸籍の改製によって除かれた従前の戸籍のこと。戸籍の様式や編製基準が、法令等の改正によって変更された場合に行われます。)という、聞きなれない言葉もありますし、意外と集めるのは大変です。
これも、冒頭に書きましたが、亡くなった方(被相続人)に子供、孫などがいなく、そして、両親祖父母などもいない場合、兄弟姉妹が相続人に当たることになるわけですが、
その場合は、誰が被相続人の兄弟姉妹か調べるために、被相続人のご両親の生まれてから亡くなるまでの戸籍(除籍、改正原戸籍)まで、必要になってきます。
さらに、兄弟姉妹もすでに亡くなっている場合は、最終的に相続人になる被相続人の甥、姪が誰か調べるために、ご兄弟の生まれてから亡くなるまでの戸籍(除籍、改正原戸籍)まで必要になってきます。
ここまで来ると、戸籍等の数が何十通になる可能性があり、かなり面倒です。
○頑張って、戸籍を集めて相続人を調べ(相続人の範囲などについては、相続の基礎知識を見てください)、相続財産を書き上げて、財産目録を作成し(相続財産については、相続の基礎知識のところで)、相続手続の下準備はひとまず完了です。
遺産分割に入る前に、相続人になる人は、相続をするかどうか選択できます。
どういうことかというと、相続により承継される財産は、もらえるプラスの財産だけでなく、借金債務のマイナスの財産も承継されます。
つまり、万が一、プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多ければ、相続により、相続人は損をすることになります。
マイナスの財産が大変多ければ、損、というどころでなく、極めて最悪の事態に陥りますので、借金などマイナスの財産が多いときは、相続をしない―相続放棄をすることになるでしょう。
相続放棄をすれば、最初から相続人とならなかったことになり、プラスの財産も承継されませんが、マイナスの財産に対する義務もなくなります。
自己のために相続を知った日から3ヶ月以内という期間はありますが、その間に、相続をするか放棄をするか、相続人になる人は決めることができます(詳しくは、相続の基礎知識で)。
実際相続する人も決まり、肝心の遺産分割の協議に入ります。
相続人当事者の間で、話し合いをし、決まれば、遺産分割協議書を作成して、各自署名、押印(実印)して遺産分割協議は終わることになるのですが、
相続人間の話し合いで決まらない場合はどうするの?ということももちろん考えられ、
その場合は、「遺産分割の調停」をすることになります。
そして最終的には裁判で決着(?)ということになるかもしれません。
遺産分割でもめたら、かなり苦労することになるでしょう。
遺産分割協議が終われば、名義変更等の実際の手続をすることになります。
ここまで来れば、戸籍等も集まっていて、遺産分割協議書もあるので、残りの必要な書類の用意をするだけで、手続はすんなりと進みます。
他に相続税の申告等の事項も考えないといけませんが、これで相続手続はとりあえず終了です。
さて、いかがでしたでしょうか?相続手続は、身内間の争いが起こりやすいところですが、できれば、喧嘩などせず、気持ち良く手続を終わりたいですね。
遺言書作成したい、相続手続を手伝ってもらいたい、相談したいという方は、お気軽にご連絡ください。親身になって、お手伝いします。 お問い合わせはこちら →
最後までお読みくださりありがとうございました。